ナイスガイなナイスガイド
- フィリピン・バナウェ
- 2015年7月8日
- 読了時間: 3分

フィリピンのバナウェという山岳地帯に、ライステラス(棚田)を友達と見に行った時の話です。
そこは、まるで遥か天空へと続く階段の様に 山の斜面が段々になっている【天国への階段】と呼ばれる世界遺産地域でした。
そこで、出会った『サルバトール』と言うガイド兼ドライバーは、それはそれはイイ奴でした。 めっちゃナイスガイでした。
お互いに自国語とカタコトの英語しか喋れない僕ら。
日本語を教えてくれと言うサルバトールに 僕らは、頑張って「おはよう」「こんにちは」「ありがとう」から 数字の1~10までの数え方。 その他、様々な日本語を教えたのですが
サルバトールが一番最初に覚えたのは 「小便」でした。
齢40を越えた彼。
微妙にひん尿気味で すぐ放尿するサルバトールは、度々 「ジャストモーメント・・・」
「ワッツ?」
「ションベン!」ニヤリ。と、いたずらっ子の様な笑顔を向けてきます。
何にもない山の中で暮らしているからか 素直で、純粋なんでしょう。
そんな、素朴で誠実なサルバトールに、ライステラスを眺める様々なビューポイントを案内してもらったのですが あいにく、僕らがバナウェにいた数日間は、天気に恵まれませんでした。
しかし、それは、それで 霧が掛かり雲の上へと続く天国への階段を神秘的に演出していて 物凄く幻想的だったのですが、サルバトールは、どうしても晴れた日の 自分が心から自慢できるライステラスを僕らに見せたいようです。
そんなサルバトールの想いとは裏腹にビューポイントに着けども着けども 無情にも空は灰色に霞んでいます。
中々、晴れない空にシビレを切らしたのか サルバトールは、大きな声で曇り空に向かって 「ゴーアウェイ!ゴーアウェイ!!」と叫び、大きく手を降り 雲をどけようとしだしました。
いやムリやろ。と思いましたが、必死に雲をどけようとする無邪気なオッサン、サルバトールは僕に日本語で 「どっか行け」は、何と言うんだいと聞いてくるので 一緒に旅していた友人の名前「たけし」と、つい出来心で嘘を教えると サルバトールは、再び空に向かってさっきよりも大きく手を振り 言うなれば、オタ芸よりも激しく大きく手を振り 「タケーシー!タケーシィィィ!!タ-ケェイイシィィーー!!」と叫び出しました。 いや、もっとムリやろ。と思いましたが その姿は、それはそれは、祈りにも似た ある種の変な儀式みたいになっていました。
サルバトールの心からの「タケシ」に 天はご慈悲を下さったのか、神様が「俺の名前タケシちゃうわっ!!」って雲の隙間から顔を覗かせたのかはわかりませんが
少しだけ。ほんの数分くらいですが
晴れました。
サルバトール恐るべし!
コレを読んでくれてるアナタっ!! もしバナウェに行き 「タケーシ~」と叫ぶナイスガイなナイスガイドに会う事があれば
優しくそっと見守ってあげて下さい。
神さまも、そしてタケシも きっとドコかで、ちゃんと見守ってくれているのですから。
おしまい。ちゃんちゃん。

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